俺とRZ50弐
俺とRZ50その弐








―――――――期日までに名乗りでない場合は処分する・・・・・学生課



という文字を刻印したプラ板を貼り付けられた旧型RZ50・・・・・・・・・・・



何故か分からない・・・・普通の人が見れば、邪魔だからとっとと処分して欲しいスクラップにしか見えないだろう。。

俺が、この空気の抜けたRZを引きずりながら押してモーターサイクル部に行った時には夜の7時近くだった。

初夏だったので、いくらか日が長くなっているようで、持っていった時にはあたりがやっと薄暗くなった、という印象が残っている。

ダメ元で、モーターサイクル部に行ったのだった。ほとんど賭けに近かった。何も情報がないし、部員でもないので活動しているかもわからなかった。

たまたま、自分のバイクを改造しようと思って残っていた副主将の一人がいただけだった。



俺”あの、ちょっとこれ明日になったら廃棄されるみたいなんですが、俺欲しいんです。どうにかなんないんですかね?”



副主将”ふ・・RZ50じゃねーか、、、しかも旧型かぁ・・・けっこうボロボロだな。。で、どうしたいんだ?”



俺”あの、とりあえず乗れるようにしたいんですよ。コイツ、廃棄されちゃうんなら俺が乗りますよ。”



べつにすごい出会いでもなんでもなかった・・・大学のバイク置き場に乗り捨てられたようにずっと置き去りにされていたRZ50。。

俺は前から好きだった。RZという血脈をもつバイクが。

1979年に初めてモーターショーに出された。

そのころは衰退の一歩をたどっていた2サイクルのバイク・・・・

”最後の最後にくいのない2サイクルを作ろうじゃないか・・・”こんなコンセプトのもとにYAMAHAで作られたのがRZだ。

その頃のバイクレースといったら、F3だった。これに魅せられた人間はとても多かった。

このころ、漫画では”バリバリ伝説””ふたり鷹”が連載され、大人気。。

こんな70年代〜80年代が俺は大好きだった。。

俺は現在20歳だ。生まれは1982年。

当然、この頃をオンタイムで生きていたわけじゃない。

でも、何故か感じる。なにかのつながりを。

人がバイクを買うときに、自分と同じくらいの年の物を買うだろうか?

普通買わないだろう。新しい物を買うと思うし、金がなければ、中古でもより新しいものを選ぶだろう。

ま、あとかっこいい。そんなのが選ぶ時のチョイスに大きくかかわってくるに違いない。



・・・・それじゃない・・・そんなものじゃない。魅力というか、人をとりこにしてしまうような・・・そんな力強さを感じさせる。


さっき述べたレースのF3でとあるマシンがあった。TZという名前だ。

もちろん、速く走るだけのために生まれたマシンである。

いらないものは一切付いていない。速度計やヘッドランプなんかもだ。

もちろん当時のレース用のセパレートハンドル。速度計なしでタコメーターがついている。

燃料だって、混合タイプ。(現在ではガソリンなどの燃料を混合するということはない。)

当然、速度計やヘッドランプのついていないマシンが公道で走れるわけがない。

これを公道で乗れるようにしたのがTZRなんて車種だろう。。


参考にまで。RZ250改。egは350CC、名門YUZOクロスチャンバー、FZRの足回りを流用。スプロケットは中高速セッティング。軽く220キロ近くは出る。


その伝説のTZ直系の血脈をうけ、レーサーレプリカではないというスタイルをとったのがRZ250である。

スタイルは実に女性的なスタイルをしている。。。しかし、すごい加速力から”妖刀”と呼ばれるようになる。。

まるで6500rpm(6500回転)から始まるパワーバンドに入ると、急にエンジンが元気になる・・

ブレーキはあまり効かない・・・・制御不能の暴れ馬のようなバイクだ。とてもじゃないがラフに扱える代物じゃない。

当時、RZ250はそういった理由でものすごい人気になった。

そして翌年、前に述べたように”ナナハンキラー”ことRZ350が史上に登場する・・・

それを追うかのようにRZ50も出回る。。RZ-R、、R1-Z(TZR系列)・・・もだ。



少し余談が長くなってしまったようだが、RZという血脈のすばらしさを分かっていただけたかと思う、、まぁわからないでもいいのだが。

とうぜん、20数年たってしまった現在では、もっと性能がよくて、馬力、パワーがあり、速いバイクなんて町じゅうに走っている。。

でも、あえてRZが好きなんだ・・・そんなRZが・・・・・・・・・・・・・・・







副将”あのさぁ・・・とりあえず、エンジンが動くかどうかが問題なんだよ・・・それにはっきりいって古いからパーツが売ってないよ店に。”



副将”たぶん、復刻版で今でてるRZ50の新型のパーツもつかないだろうし・・・”



俺”そうですか・・・とりあえずエンジンが動くかどうか・・・”




・・・・・・・・・・・・・だめだった・・・・コンロッドが折れていた・・・



そして俺があきらめた時、途中から来たモーターサイクル部の3年生の人が、

3年生”つーか、ずっと大学の他の駐輪場におきっぱなしの旧型の赤のRZ50あるぜ。。”



俺”よし。。そいつも見に行こう・・・”

その赤い旧型RZ50も俺の見つけたRZ50と同じく明日処分されるという札が張ってあった。



3人”これしかない!!”



軽くパーツを見た。大丈夫だ・・・キャブレターもついている、、とりあえず、エンジンまわりもOK。計器類もOK。

あとはコイツのエンジンが動くかどうか・・・・それだけの問題だった・・・





気づいた時には夜の10時過ぎだった。。



真っ暗な闇の中、モーターサイクル部のガレージから照らされているライトが

俺たち3人のお化けのように大きくなった影を作り、、そこに手が油まみれになったすがたをゆらゆらと写していた。



何故だかわからなかった・・・ほんの数時間前に初めてであった2人の人間。

ここまで仲良くなって話も弾んでいた・・・

まるでずっと昔からのおさなじみのような錯覚さえしていた。。。



副将”あのさ、、でもこれって例えると二つの古い冷蔵庫があるとするじゃない、で、一つは壊れているんだ。”

3年生”で、こわれてない古いやつの部品で古くて壊れてるのを直すのと一緒だぜ。。だから馬鹿だよ。。(笑 新しいの買えよ。”


俺”いいんだよ・・・俺にしかこの古い壊れた冷蔵庫の価値はわからない・・・”




・・・つづく・・・

NEXT

BACK

コラム一覧へ戻る。

トップへ